KUDOUMARI
工藤 マリ
北海道札幌市在住
3級音楽療法士
3級音楽心理士
介護老人保健施設勤務
「座ったままのフラ」
現在勤務している介護老人保健施設で『座ったままのフラ』を始めて、今年で3年目(2016年)となりました。
私自身フラを始めたのは5年ほど前です。ある日参加したフラのイベントのステージで、車椅子の方々が笑顔で楽しそうに踊られている姿を見て、「座ったままでも踊れる!」と思い、施設の上司に「月1回でいいので、活動の一つとしてフラをやらせてほしい」と頼んでみました。
すると思いがけず「週1回でもいいよ。」という返事をもらい、毎週1回昼食前の1時間を自由に使わせてもらえる事になりました。
模擬セッションでは、その一部を紹介し、皆さんに体験して頂きましたが、通常行っている流れをここで改めて紹介したいと思います。
午前の活動(その曜日は詩吟)後、まずDVDを観ながら水分補給。(お茶・ポカリ・イチゴ水・メロン水・ブルーハワイ水の中から好きなものを選んでもらいます。)DVDはハワイの景色や音楽、時にはバレエ、時には大湊先生のバリ島施設訪問、今月はターシャ・テューダーと様々なジャンルをかけています。
水分補給が終わったら、さあ、『座ったままのフラ』の始まりです。
まず心身の緊張をほぐすため、必ず準備体操から行っています。BGMは、フラのゆったりした曲や皆さんの元気の度合をみてテンポのあるタヒチアンの曲を使うこともあります。
<深呼吸>
腹式呼吸で、身体の中の空気を入れ替えます。
<姿勢>
背もたれによしかかっていたり、背中を丸くして座っていると、見栄えも悪いだけでなく腰への負担も大きくなってしまいます。
ただ、正しい姿勢を保つためには、それを支える筋肉(腹筋・背筋)が必要なので、それだけでも高齢の方々にとっては、大変なことかもしれません。
真っ直ぐに座ろうと意識するだけでも十分です。楽しく行って頂きたいので、決して無理はせず、いつもより少しでいいので胸をはるようにして下さいと伝えています。
「それだけで10歳若返りますよ!」と。
<首・肩・手首>
上半身で踊るため、これから腕をたくさん動かすことになります。緊張していると、コリや痛みの原因にもなるため、最低限この三点だけは軽く動かし、力を抜くようにします。必ず呼吸をしながら、気持ち良い程度に行います。
<ハンドモーション>
フラの動きには、全て意味があります。形式通りに踊るのではなく、手の動きで、詩や感情を表現しなければなりません。
模擬セッションでは、基本動作カホロの手の動きのあと≪花・雨・風・鳥・山・月・星・雪≫を皆さんと一緒に踊りました。
≪その花の色は?香りは?~雨は優しい霧雨です。~さわやかな風が吹いてきました。~大きな翼で自由に空を飛びます。~緑に包まれた山~輝く月と星~~イメージ出来ましたか?≫
どれだけ正確にきれいに踊れるかよりも、どれだけ鮮やかにイメージ出来るか、の方が大切です。上手く出来なくても心の中にしっかり思い浮かべることが出来ていたら、それで十分です。
心に浮かべることで表情も目の輝きも変わってきます。
~心を自由に踊らせましょう!~
<花は咲く>
模擬セッションでは、一気に短時間で一曲全振付けを行いましたが、施設ではまず歌を
皆で一緒に歌うことから始め、毎週少しずつ進み、数か月かけて一曲を完成させています。同じ曲でも色々なヴァージョンがあるので、歌手やテンポが違ったものも時おりかけて、踊っています。
ここでフラは終了し、その後交流会・若返り体操や嚥下体操(いつもはパタラカですが、この曜日は北原白秋作『あめんぼの詩』を使用)を行い、昼食となります。
昼食の際にかけるBGMもその日の雰囲気で、クラッシックだけでなく、ビートルズから邦楽まで色々と好き勝手に(!)かけさせてもらっています。
≪最後に≫
施設でのフラ参加者数はだいたい2~30名程度。年齢は60代~90代。女性ばかりでなく、男性も多く参加されています。車いすの方はもちろん片マヒの方も参加して下さっています。
今まで、<涙そうそう>・<カノホナピリカイ>・<春よ来い>を踊ってきました。今回の<花は咲く> は4曲目になります。フラの活動中思わず感動してしまうくらい、皆さん上手に踊られています。
ですが、この『座ったままのフラ』の目的は決して美しく踊ることではありません。
振りを覚える必要もありません。温かい南の国のゆったりとした音楽にあわせて、普段動かしていない筋肉を無理なく楽しく動かしていくこと、筋肉の衰えを防ぐことが目的です。
又、イメージを拡げる事によって脳の活性化にもなります。笑顔になることで、表情筋も鍛えられます。良いことづくしですね(笑)。
模擬セッションにて皆さんと一緒にフラができましたこと、とても感謝しています。ありがとうございました。
皆さんにもっとフラの魅力を伝えられるよう、今後も続けて勉強していきたいと思っています。