Positive feelings

「前向きな気持ちを持って
しかし
「言うは易く
    行うは難し」

日本ナラティブ音楽療法協会 理事長 大湊幸秀

 イギリスの病院で「乳がん患者の心理状態と生存率」の追跡調査が行われました。乳がん患者を4つのグループに分け、生存率を3年にわたり追跡調査したのです。

 

 4つのグループ

  1)病気を否定したグループ
  2)冷静に受け止めたグループ

  3)がんと戦う意識が強いグループ
  4)絶望を感じたグループ

 

 生存率は

  1位「がんと戦う意識が強い」グループ

  2位「病気を否定した」グループ

  3位「冷静に受け止めた」グループ

  4位「絶望を感じた」グループ

 という結果が報告されました。

 

 前向きな気持ちを持って「病と闘う」ということが延命率を高めたのです。

 絶望すると終焉は早くやってくるようです。

 また「ありがとう」などのプラスの言葉が口癖の方は、自然治癒力や免疫力が維持され、病気にかかりにくい、症状がでても治りが早いという研究調査や、アメリカのサイモントン医師は、生きる希望や理由がある患者の方が、そうでない患者にくらべて生存率が高いことから、患者の性格・ものの考え方が生存率の重要な鍵であると報告しています。

 

 病になっても「前向きな気持ち」を持つことにより、治癒率や延命率は高まるのです。しかしガンになった方に「笑顔で」「前向きな気持ちで」と言っても「俺の気持ちの何がわかる」などと、前向きな気持ちを持つことや、笑顔になることは簡単ではありません。

 

 私(大湊)も経験があります。
私の脳の中には「脳腫瘍」が2つあります。 こちらも御覧下さい➡

 右聴覚神経腫瘍と左三叉神経腫瘍です。

 私は音楽を生活の糧としていますので、右聴覚神経腫瘍により右耳が聞こえなくなることに恐怖を覚えました。

 開頭手術ではなく、ガンマナイフという放射線での手術をしましたが、術後しばらくして耳の聞こえがだんだんと悪くなってきた時のことです。

 

 再度手術することは出来ません。しかし「何とかしたい」「何とかしなければ」という思いが胸の中を駆け巡りました。

 その時は薬(ステロイド系の薬です)を処方されていましたので「頼るのは薬しかない」と、朝昼晩3錠ずつと言われていたのを、4倍の12錠ずつ飲み始めました。4倍の量を飲むのですから直ぐに薬はなくなります。

 主治医のところへ駆けつけ「私の奥さんが間違って、ゴミと一緒に薬を捨ててしまった」と嘘を言い、さらに「この所、仕事が忙しく病院へ来るのが大変なので、薬を出せるだけ沢山だして欲しい」と大量の薬を処方してもらい、毎日4倍の12錠ずつ飲み続けました。

 

 このころは耳の聞こえが悪くなっただけでなく、耳鳴りもひどく「聞こえなく、耳鳴りのする耳なんか、切り刻み、切り取ってしまいたい」とも思っていました。

 薬を飲むことに必死ですので「前向きな気持ちを持って」など思い浮かべるはずもありません。しかし4倍薬を飲んでも一向に耳の聞こえは良くならないのです。それどころか、さらに聞こえが悪くなっていくのです。

 

 そして、薬がなくなるころ「薬は効いていない」ことに気が付きました。

「手術は終わった」「薬は効いていない」「もう何も手立てはない」と思った時「あ〜あとは神様の言うとおり」の考えが浮かんだのです。

 この時の「あ〜あとは神様の言うとおり」は、もうどうでも良い、どうなっても良いなどの捨て鉢な気持ちではなく、その時その時を受け入れ、その時に出来ることを頑張って行こうという気持ちでした。

 すると「前向きな気持ち」が浮かび上がり、下を向いていた気持ちが上向きに変わっていったのです。

 もしも薬を4倍飲んでいたとき、少しでも耳の聞こえが良くなっていたら、更に飲む量を6倍などに増やしていたかもしれません。

 

 今、右耳は殆ど聞こえませんが、それはそれで仕方がないことです。

 聞こえないことを受け入れ「前向きな気持ちで、明るく毎日を過ごす」。

「災い転じて福となす」といたしましょう。

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