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大握 節子
香川県善通寺市在住
2級音楽療法士
3級音楽心理士
個人活動
(社会福祉法人ディサービス・特別養護老人ホーム等)
「私の活動報告」
音楽療法の仕事をはじめて、今年(2017年)で6年目になります。と言っても、初めはどんなものを提供して良いのやら…
手探りの状態で音楽療法に関する本を、ずいぶんとたくさん買い込んで、私なりのセッションをしていました。
経験のあるパートナーの真似をしたり、自分なりに資料を作成したりと、頑張ったのですが…。そうだ!これだ!という確信もなく、なにか表面的で上部ばかり取り繕ったセッションに行き詰まっていました。
これではダメ!しっかり知識を得て、ちゃんとやろう!と思い、出会ったのがナラティブ音楽療法でした。
ホームページを開いたところから、暖かさや優しさが伝わってきて、ここの会員になろうと決めました。
通信でやり取りしながら、片方ではセッションという具合でした。
大変でしたが、通信教育で得た知識や情報、そして有難いことに、先生のプログラム提供など、すぐに実践する事が出来き、間近に様子がわかり、とてもラッキーなことでした。そして何より私の自身の『心』が違ってきました。
利用者さん達と『なじみの関係』これが私にとって大きなキーワードとなり、素直に自分を出して、利用者さんや、介護スタッフとの良い関係を築けるように良く会話をするよう心掛けています。以前よりもずっと距離が縮まったように思います。
軽いジョークや世間話など、笑いを交えてセッションしています。
あるダジャレに「前も聞いたよ」って言われて
あれ?認知度の高い利用者さんなのに……心の中でシメシメと思う私がいます。
私の音楽療法活動は、社会福祉法人・善通寺福祉会のS荘、デイサービスの方が曜日を変えて月3回、入所者の方が月1回、特別養護老人ホーム、G荘では月1回 、合わせて、月5回ほどのセッションをしています。
全員の方が老人性認知症があり症状はさまざまです。そのほか身体障害・高次機能障害・アルツハイマー・フィッシャー症候群、精神障害方がいます。人数は入所の方が、22~25名 デイサービスの方が14~18名といったところでしょうか。
おもに私がリーダーの MT ( Music therapist)を務めています。一緒に活動をしてくれるパートナーで、伴奏者が1名。そしてホームの介護スタッフが2~3名程、いつもアシスタントをしてくれています。
始めたころは利用者さんの目が突き刺さるほど痛くて、歌わせている側と、歌わされている側と言ったような、なんとも言えないギクシャクとした関係が、回を重ねるに連れ「自然に歌が出てくる」「自分からマイクを持つ」「会話に参加する」「自分の話をする」「話が脱線する」「笑う」と言ったよい雰囲気になって来ました。
新しい方が来られても、すぐに会話が弾み「楽しかった」「次はいつ?」って言ってくださるので、きっと和んだ雰囲気のなかにいる環境が良いのだろうと思います。
あるセッションの始まりは、季節やニュースなど身近な出来事から会話します。
利用者さんが揃ったところで「今日もいつもどおりビューティーペアでおおくりします(笑)」と言ったら「なんでやねん!」と返してくれるようになりました!。あと3ヶ月はこのネタでいこうと思っています(笑)
節分の頃のセッションです。皆さんで「豆まき」の歌を歌った後「豆まきと言ったら~?」「鬼!」「ですよね」
「鬼が出てくるお話は何かありますか?」「桃太郎!」「ですね!ここで問題です」といつものごとくクイズを出します。
「桃太郎には3人?の家来…」「犬!」「猿!」「雉!」と得意に答えられます(笑)「ですが……(笑)」
「桃ちゃんが最初に出会ったのは誰!?」
「犬、いぬ!」「違う?さる?」「???」「………ああ雉か」
「ファイナルアンサー(笑)?」「うんうん」
「ジャーン答えはお婆さんです」
「……?…!なーんだ(笑)」「やった~っ!」
「では次の問題です」利用者さん達が一斉に私に注目します。
「白い犬、黒い犬そして茶色い犬どの犬が吠えないでしょう?」
「家の犬は大人しいよ だから白」
「うちの犬は茶色のポメラニアンだけどよく吠えるよ だから黒かな?」
「そうですかあ……」「しろ、白!」「ちゃいろ!」
「もしかしてピンクって言わへんか~」
「あははは…そんなことはいいませ~ん(笑)」
「では、漢字で書いてみましょうか。 黒い犬が、、、、黙・・」
「あーっ(笑)本当だ 黒い犬だ!」
「やっぱり そんな事だろうとおもった」
「おもしろクイズでした。チャンチャン」なんて気負わずそして突然にクイズを出しています。
「そこで問題です!」と人差し指を立てると、それぞれ皆さん上目遣いで天井を見たり、口をおちょぼ口にして考えてくださるのです。
前から見ていると可愛いらしいやらおかしいやら……。真剣に真面目に考えてくださるので答えを言うのが申し訳ないほどなんですが…。
答えを知ったら「なあ~んだ」「また やられた」って言うほころぶ顔がまたなんとも言えず良いんです。
「では、桃太郎さんの歌、歌ってみましょう。 出だしはなんでしたっけ?」
「むーかし、むーかし?♪」
「うらしまは~?♫あれちがう(笑)」
「もーもたろさん、ももたーろさん♫」
「おこしにつけた~きびだんご♪ひとつわたしにくださいな~♫」と6番まで手拍子で盛り上がった後…。
「川からながれているのは~~?」
「モモ、もも、桃」
「ブッブッー!川から流れてるのは水でしょ!」
「えー何って!」「み・ず・です」
「川から桃が流れてくるところがあったら、教えて下さい(笑)」
「うわ~またやられた!(笑)」なんて和気藹々とセッションしています。
ある時など最後までクイズを出さなかった日がありました。
「今日はクイズを出さないのかい?」って仰る利用者さんがいて…。
「今日はバスガイドさんの日です。」
「皆様、右手をご覧下さいませ。」と言いながら手を立て「一番高いのはー・・?」「東京タワー!」「スカイツリー!」「富士山!」なーんて答えてくれます。
「フッフッフッ~右手をご覧下さい一番高いのはー?な・か・ゆ・び(中指)です。」
若い介護スタッフさんに「ふるー(古い)」なんて笑われながらも受けるのです 。
「わかいきぼうもこーいもある」と歌えば「ビルの町から山手へ~♪」と歌ってくれます。
歌の力はパワーがあります 。ワンコーラス全部歌えちゃいました。
「ありがとうございましたー。次回もおたのしみに!」というと「また来てや !楽しみにしているよ!」と言われるのが嬉しい瞬間でもあり、また頑張ろうと言う力も与えてくれます。
音楽を通して笑い、語りが、自然と出てくるよう、私も垣根を外して心から利用者さんと一緒に楽しくセッションができるよう、話術に磨きをかけながら、努力していきます。
あともう一つ私の毎週の楽しみは、火曜日に行われている「リズム遊び」です。対象者は0歳~3歳までの就園前の子供たちとその保護者の方々です。
善通寺市が主催し、保健師、主任児童委員、更生女史夫人の会の方々に見守られて行われている行事です。
目的は地域の中に引きこもっている親子はいないか。そして横の繋がりをもっともっと広げよう。障害のある子も積極的に参加しよう。と言うことで、現在は親子合わせて80~100名近くが集まっています。
内容は親子で行う踊りや、絵本の読み聞かせ、トンネルやパラシュート、平均台などを使ってのお散歩コーナー、パネルシアター、楽器を使ってリズム遊び。
そして親子が家でも遊べるふれあい遊びなど伝承しています。
最後はアンパンマンサンサン体操やエビカニクスなど、リクエストに応じて踊っています。
市が主催しているので消防自動車、パトカー、白バイなどが来てくださり、安全指導や、車の中に乗せてもらったり、女性ライダーと一緒に写真を撮ったり、と毎年の恒例行事となっています。
もう一人の音楽療法士と共にに、私はサブとして主に音響を担当しています。
絵本やパネルシアターなどのBGM、時には、パトカーや踏切の音響効果などつけたり、MTのお喋りに、音で臨場感をつけたり、本当に楽しんでやらせて貰っています。時にはママ同士の演奏も披露してくれます。
お母さん方の横の繋がりも密になり、お茶会を開いたり、遠足などを計画して、楽しんでいるようです。同じ幼稚園に通う人同士とか、家が近いのに知らなかったと言う方々もいましす。
「リズム遊びで待ち合わせ」その言葉がそれぞれの合言葉となり、気の合う者同士で、そのあとランチに…って言う方もいます。
この頃はイクメンパパも参加したり、じいじ、ばあばも休まず来てくれています。私もばあば世代なので、どちらかと言うとこの方達と話が合います(笑)。
孫のように可愛い子供達に会えるのが楽しみであり、私のパワーの根源となっています。
以上 私の活動報告でした。