私と音楽

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   「よっつん」   2019年12月31日・掲載

 私の頭の中は、常に音楽が流れている。

「今、頭の中で流れている曲を歌って」と言われれば、何かしらの曲や歌が口をついて出てくる。時にはビートルズ、時にはクラシック、時には乾杯(長淵剛)など、その時の気分で種類も全く違う。何故だろう。今まで自分では当たり前すぎて、理由なんて考えもしなった。

小さい頃から習っていたピアノは中学校での部活を理由にやめてしまった。しかし音楽から離れるのが嫌で、楽器店でギターを買って通信講座に申し込んだこともあった(指が痛い!とすぐに挫折してしまったが)。合唱部の伴奏をしてみたり、地元で開講していたアカペラ講座に通ったりもした。そんなに音楽が好きならピアノをやめなければよかったのに、と最後の悪あがきで音大を受験した。大学在学中も他のバイトと掛け持ちしてまで聖歌隊の仕事をしてみたり(しかも伴奏ではなく歌)、結婚を機に転居する際も、自分のピアノが持ち込めないとわかると、デジタルピアノを購入した。

何という執着心だろう。振り返って見て、そんな自分に驚いた。よほど音楽が好きなのだな、と今になって思う。いやむしろ、音楽と常に繋がっていないと不安になる、という表現の方が正しいと思う。何か自分を奮い立たせる為に、常に頭の中で音楽が流れている感じだ。

 

学生の頃から、趣味だけでは終わりたくない、音楽経験を少しでも活かせる仕事がしたいと常々思っていた。

では、どんな仕事が良いのか?ピアニスト?(いやいや、技術や才能が無いと仕事にならないでしょ)学校の先生?(あんな大変そうな仕事、私には無理!)など、ただ漠然と音楽に関わる何かの仕事に就きたいとは思っていた。

「音楽療法」という言葉を知ったのは「職業辞典」のような雑誌を読んだ時だった。

「音楽の仕事」というカテゴリーの中に載っていた。当時はまだ音楽療法に関する情報が少なく、インターネット環境も無かったので、音楽療法士という職業を漠然と知っただけだった。ただ、何となく私に向いてるかもしれないな、と頭の片隅で思っていた。

そして私が大学在学中に、なんと「音楽療法科」が新設された。もし入学する前に「音楽療法科」があれば、そちらに進んでいたに違いない。当時、とても悔しかったのを覚えている。

 

転居、結婚、出産、その他の諸事情で私は現在、鉄工所のCADプログラミングという全く音楽とは関係ない仕事をしている。この業種の仕事も通算10年以上していると、それなりの役職になり、初めて人に「教える」という立場になった。教える対象は20代の男女が主だが、世代が違うせいか、私の心が狭すぎるのか、「言うことをきかない」「わがまま」など、理解し難い「未知なる生物」にしか見えない(とても失礼)。教え方が悪いんだよと言われればそれまでなのだが、なんと言うか、根本的な考え方、価値観が私と全く違うように感じる。彼らにCADの仕事を教えるのが苦痛に感じていた。

しかし、地元の音楽教室で講師をしていた時、同じ「教える」という仕事でも苦痛は感じなかった。教える対象は幼児から大人まで、大学を卒業したばかりの私にとって「未知なる生物」(またまた失礼)だったが、とてもやりがいを感じていたし、楽しかった。音楽を楽しむ時間を生徒さんと共有できる事が、何より嬉しかった。

そこで、私が得意の妄想で、現在勤めている会社の若い子達にピアノを教えるとしたらどうだろう、とシミュレーションしてみた。

……………。

『めっちゃ楽しそう!』

あの子達は明るいから、きっと笑いが絶えないだろうな、とか、あの子はこういう風に教えたら上達するだろうな、など、現実でもないのに心の底からわくわくしてきた。音楽の力(いや、私の妄想力?)って凄いなと改めて実感した。

それと同時に、やはり今の仕事は私には向いていないのだと実感した。それに気付くのにいったい何年かかっているのだ、と自分に呆れる。いや、薄々は気付いてはずだ。数字が嫌いなくせに図面と睨めっこ(眉間に寄ったシワが消えない)。難しい図面になると動悸がする(身体がもう既に拒否している)。よく10年以上もこの仕事を続けて来られたなと思う。

 

いつでも転職出来るように、何か資格をとろう。そう思い、真っ先に思い浮かんだのが「音楽療法士」だ。その他にも、子育てに活かせそうな食事関係や、趣味で育てているハーブ関係などの講座の資料を取り寄せた。しかし、どの資料を見ても、飽きっぽい私が寝る間も惜しんで勉強したいと思える内容のものが無かった。

あーあ、やっぱりフルタイムで仕事をして、二人の子供(※主人も含む)の世話をしながら生活している今の私には資格を取るのも無理なのか。いや、人間、何でもやる気さえあれば出来るはずだ!などと葛藤(?)しながらネットサーフィンをする日々が続いた。

何とか生活に音楽を取り入れたいと、自宅で週末だけピアノを教える仕事も始めた。指導者としては、ブランクがあり過ぎる初心者なので、まだまだ勉強中だ。

 

そんな日々を送る中、遂に人生を変えるであろう運命的な出会いを迎えた。『ナラティブ音楽療法』だ。

ホームページを少し読んだだけで、心の中にその想いが伝わってくる。

『これだぁ~っ!』

真夜中に、子供が寝息をたてている真っ暗な部屋で一人、小さい声で叫んだのを今でも覚えている。その瞬間から、燻っていた私の中の音楽好きの炎が一気に燃え上がった(決して大袈裟ではない)。

音楽療法という括りの中でも、目指す所はきっと同じなのに、アプローチの仕方でこんなにも印象が違うのか。初めて「音楽療法士」という仕事が、何てやりがいのある、素敵な仕事だろうと思った。やったこともないのにウキウキしてきた(The・妄想力)。

そして同時期、私の炎に油を注ぐように、二人目の子供(主人も数に入れると三人目だが)を授かった。産休と育児休暇を利用して自分のペースで勉強できるではないか!もう、これは転職しかない(会社にとっては大迷惑)!きっと神様がそう教えてくれているのだ!と、自分の都合の良い様に解釈した。勉強しているうちに、何度も『本当に私に出来るだろうか?』と不安になったが、やってみなければわからない。何事も経験だということは、ピアノ指導者向けの本を読み漁って実践してもなかなか自分の物に出来ず、難しさを痛感しているのでよくわかっているつもりだ。

それに、きっと楽しいはずだ。そんな予感がする。自分の実力の無さに失望しながらも、続けられているピアノ教室のように。「音楽」が絡むと、私はきっと諦めない。今までがそうであったように。

「音楽療法士」の資格が活かせる職場に転職しよう。そう決心させてくれた『ナラティブ音楽療法』に心から感謝している。

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NPO法人 日本ナラティブ音楽療法協会

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