北海道胆振(いぶり)東部地震被災地へ
の取り組み
報告 No1
震源地の厚真町には、7年前私(大湊)が「音楽療法の講演」に行っています。
ですので地震から1週間ほどしたころ、お世話になりました、厚真町の社協の方に「もし出来そうなら音楽療法を行いに駆けつけます」と電話をしました。
ですが、1週間後ですのでまだまだ「それどころではない」という感じでしたが、希望があれば「心のケア」に行きますと伝えました。
その後、被災地の厚真町や安平町、むかわ町などに近い栗山町にて音楽療法で活躍している「協会会員の池下さん➡」に、忙しい中いろいろと動いていただいています。
2回ほど、情報共有会議の集まりに参加していただき「心のケア」の大切さ、ナラティブ音楽療法の良さをアピールし、参加された皆さんから熱い賛同を得たとのことです。
まだまだ、これから冬に向けて被災された方々、いろいろと動かなくてはならず、また仮設住宅に全員入居出来るわけでなく、身の回りのことで大変とのことです。
しかし少々落ち着いたころ、何ヶ所からか依頼があると思いますので、その時は皆さんの「力」をお貸し下さい。
とにかく現在は池下さんが、積極的に被災地の社協、町役場、町内会、地域サロンなどを周り、「心のケア」の大切さを伝えに、活動的&強力的に動いていただいています。
感謝です。
報告 No2
11月7日(水)に、厚真町の方から「11月12日(月)10:00~12:00までサロンを開くので、その中の1時間ほど音楽療法をお願いしたい」と電話がありました。
12日、私(大湊)は旭川の施設で音楽療法セッションがあり行くことが出来ず、厚真町近く栗山町で活躍(音楽療法で)している、協会会員の池下美智代氏に連絡をとりましたところ「大丈夫、行けます」との心強い返事を頂き、厚真町の方と直接連絡を取り合うように手配しました。
また道内の会員の方々にも連絡を入れましたが、急なことでしたので皆さん予定が入っており参加は難しいとの連絡ばかりでしたが、前日に札幌の会員、松本秀子氏が都合をつけていただき、池下氏と連絡を取り合って当日参加していただきました。
厚真町の方との話し合いで
開催日11月12日(月)の10:00から11:30まで、場所は勇払郡厚真町上厚真町厚南会館、厚真町の中でも被害が比較的軽かった場所とのことです。
池下氏は当日までの間、余震が続く中「平成30年北海道胆振東部地震 情報共有会議 18:00~20:30」に何度も参加され、ナラティブ音楽療法で被災された皆さんの心を少しでも明るい方向へと積極的に動いていただき感謝しています。
■『北海道胆振東部地震被災地での
ナラティブ音楽療法について近況報告』
日本ナラティブ音楽療法協会会員 池下美智代
厚真町で音楽療法を行う為に曲を何パターンか作り用意をしました。
参加される方の様子を見て行う為です。
当日、街並みは拝見出来ても被災者方々の様子が見えないため、もう~ワクワクの反面ドキドキです。
9:00会館到着。挨拶を交わし会場準備。
音出しもOK。
歌詞カードもOK。
鈴もOK。
早速、歌謡曲をかけて会場で待っていました。
9:30に一人の女性が来ました。
「あらっ、いい曲が流れている」ニコニコ笑顔です。「 まだ、早かったかしら?」
笑顔でおはようございます。どうぞと迎えました。
すると、「私、この地震で何がなんだかわからなくなったの」と話されたのです。
いろいろ、地震の恐怖を言葉に表してくれました。
「もう、一瞬にドドドガチャガチャって、タンスの下敷きになった」などと話しているうちに、どんどんと地域の方々がやって来ました。
「あーぁ なんか久しぶりにいい曲聞いた~」「あら、ちょっと久しぶりね、生きてたの?」と集まってきた方々同士が話していました。
開始時間となり自己紹介。
会いたくて~会いたくて~~今日は栗山から厚真町にやって来ました~と。
楽しく、歌って、笑って、会話して、楽しい時間を過ごし大盛り上がりでした。
すると、一人の男性から「今日はみんなのところでとれた厚真の食材で、男も女も関係なしに採れた食材で栗ご飯や漬物を作ったから食べて行って~」と。ご馳走になりました。
栗ご飯、畑でとれた美味しいじゃがいもを使ったポテトサラダ、大根の漬物、味噌汁です。
みなさんが育てた食材です。美味しかった。
食事をしながら、いろんな話しをしました。
話しをしているうちに、地震の話しも出てきました。
中には男性で目に涙を浮かばせながら話してくれた方もいました。
「生き埋めで、助けたくても助けることが出来なかった」と。
この近辺の家、一階は「爺・婆」が暮らしている人がほとんどで、二階には「比較的若い者」が住んで助かった人が多いとのこと。
でも、若者も物の下敷きになりなくなった人もいる。など話してくれました。
今回の音楽療法に札幌から駆け付けてくれた会員の松本さんとしみじみ、みなさんの胸の気持ちを重く受け止め「感慨無量」の気持ちとなりました。
お開きの時間となり、傍に駆け寄ってきて、「ほんとに楽しかったよ。ありがとう」と手を握って来る方々、胸が熱くなりました。
今回の会を開催し、お招き頂いた会長さんからは
「歌や音楽で楽しい時間が過ごせたことに感謝します。笑いのヨガなど招いて震災前にやっていましたが、今回の音楽療法で笑う事の見本はこれなんだ!と感じ思いました。ほんとにありがとう」
と、大変嬉しい言葉を頂きました。
また情報共有会議でお会いし、サロンでの音楽療法活動を担当者から聞いた「東北大学災害国際研究所の先生」より次のようなメールを頂きました。
「社協サロンも地震前より参加者が多いと伺っております。貴重な機会を設けてくださったこと厚真に関わる一人としてお礼申し上げます。みんなで歌ったり、話したり気兼ねなく過ごせる場を作ろうと尽力くださり実現していただき本当に感謝です。」
地震の恐怖、不安、家族や友との別れ、変わり果てた我がまち…一瞬にしてすべてを失ったまちの人達の心が!思い!が、ナラティブ音楽療法の力で会話が戻り、笑顔が生まれ、それが明日への希望に繋がる道となることを、強く感じとった1日でした。