私と音楽

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  会員No-216  2019年9月28日・掲載

 私は幼い頃からピアノの音色が好きで、いつもレコードを聴いては一緒に口ずさんでいた。自分で弾く時にも、レコードで聴くメロディーのように、歌うような音色にならないものかと耳をすまして弾いたものである。自分は何よりもピアノが好きなのだと思っていた。

 ある時、音楽の授業で初めて合唱をした時、皆の歌声がハーモニーとなって響く楽しさに、これまでにないワクワク感で自然と笑顔になった。休み時間にも友達と歌い、器楽合奏も楽しくて、音楽活動をしているところには何らかの形で積極的に関わるようになっていったのである。

 音楽が私たちに与える影響や力とはどんな事なのか。

 演奏の楽しさはもちろんのこと、練習を重ね技術をみがくことも達成感があり、発表の場で拍手をいただくと充実感もある。仲間がいれば一体感も得られ、楽曲の素晴らしさを感じられる。良い演奏を鑑賞すれば癒され、熱のこもった演奏に感動する。

しかし、音楽の力はそれだけではないと感じる出来事があった。

 小学生を集めてオペレッタの練習をした時である。

 練習の場ではそうでもないのだが、学級の中でわがままに振る舞い嫌われている女の子がいた。練習中は同じ個所を何度も繰り返したり、オペレッタなので演技もしなければならない。お互いに演技を見合って注意しあうこともある。そのたびに呼吸を合わせ声を合わせていくうちに、彼女のわがままはすっかり影をひそめてしまったのである。仲間に気を配り、リーダーシップを発揮してくれるように変わった。学級担任が、いったい何が起こったのか聞きに来たが、我々は特別な指導をしたわけでもなく本番ステージに向かって練習を続けてきただけである。

 私は自分が初めて合唱を歌って感動し、ワクワクしたことを思い出した。もしかしたら音楽は、自ら演奏に積極的に関わることで自分の心を素直に開放してくれるのではないだろうか。鑑賞するだけでも十分に癒しを得られるが、自分がメロディーを奏で、リズムをきざむことは、はるかに自然で無理なく、いつのまにか心のわだかまりを溶かしているのかもしれない。そして心の状態は次の段階に進んでいける。

 人によって作用の度合いは様々であるとは思う。メロディーに気持ちを動かされたり、歌詞に共感したり、リズムに心を躍らせたり、演奏そのものに爽快感をおぼえたり、その人にとって受け止めたり感じることは全く自由である。例えば作曲家の意図している解釈は理解し伝えるべきだが、それをどのように感じるかは誰も強制できない。だからこそ自然と心が解放されるのだ。

 長く音楽に携わってきた自分が改めて思うことは、他人の心の中は動かそうとして動くものではないということ。ただ自分が真摯に向き合っている音楽の力が心を動かす。本人もどの方向に動くかわからない。

 それもまた新しい本を開くようでワクワクすることである。

そのワクワク感をたくさんの人に味わってもらいたいし、共有できれば、この上ないしあわせである。

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